根管治療はとても大切な基礎治療
2018-04-29
当院は根管治療に力を入れております。
根管治療についてのお問い合わせが増えておりますので、当院で行なっている根管治療についてご説明させていただきます。
まず、根管治療とは一般的に「神経の治療」とも言われています。
虫歯が進行して歯の神経を抜かなければならなかったり、神経を抜いた後の根管(神経が入っていた管)に感染源が残っていたりして根の先に膿が溜まった状態の歯を治療することを、根管治療と言います。
お口の中の、歯の中のさらに細い根管(根の先で曲がっていたり、枝分かれしていることが多い)を触らなければならないので、とても難しい分野の治療です。
想像してみてください。
暗いお口の中に手を入れて、さらに直視することの難しい根管に器具を入れて中を清掃・拡大して感染源を綺麗に取り除く・・・・・・
大変そうですよね。
そうです、見えないところを想像しながら丁寧に治療する必要があるため、どうしても来院回数、時間が必要になります。
根管治療というのは歯の土台となる部分の基礎治療ですので、この部分をできるだけしっかりと治療することで、安心してかぶせ物(クラウン)を入れることができます。
かぶせ物は健康保険適応でも白い歯を入れることはできますが(部位や材料に制限があります)、天然歯のように見た目が自然で、汚れのつきにくい、より適合の良いものを希望されて保険適応外の歯を選択される方もいらっしゃるのではないでしょうか。
例えば、セラミッククラウンを保険適応外(1本あたり10~15万円前後の病院が多いと聞いております)でかぶせたとします。
しかし歯の根に問題を抱えていると、せっかく高価なクラウンをかぶせたばかりでも、痛みが出たり歯茎が腫れてきたりして再治療をせざるを得ないことがあります。もちろん保険内でクラウンを入れたばかりでも痛みがあるからとまた外して治療をするということはできるだけ避けたいですよね。
歯根の状態は、患者さんだけでなく私たち歯科医師もレントゲンを撮ってみないと、口の中をのぞいただけではわかりません。
クラウンをかぶせる前に、しっかりと歯周病治療や根管治療を受けることをお勧めします。
何か気になること、ご不安なことがあれば、まずは今のご自身の歯根がどうなっているのか検査をして説明してもらいましょう。
当院では、虫歯治療や歯周病治療と同じように
問診後に口腔内写真やレントゲン撮影(必要に応じてCT撮影も)を行い、現状および治療方法のご説明を致します。
※緊急を要する強い症状がある場合はまず応急処置を行い、後日詳しく治療の流れについてご説明いたします。
◆CT撮影
歯茎の中に埋まっている歯根は1本の歯に1~4本あります。
一般的なレントゲン画像は2次元なので、様々な情報が1枚の画像に集約されてしまいます。
特に根管治療が必要なケースでは、より詳細な診断が必要になることも多くあるため、CTによる3次元的な診断はとても有効です。
レントゲンなどの検査の結果、根管治療が必要と診断されたらいよいよ治療開始です。
①ラバーダム防湿(これが一番大切だと思っています)
根管の中に細菌が入らないよう、再感染させないよう、歯にゴムのシートを被せて治療を行っています。
②根管拡大にはNi-Tiファイルを使用
根管治療では、根管の中の神経組織や感染源を取り除くために、綺麗に拡大・清掃する必要があります。
一般的にはステンレススチールファイルという、硬いファイルを使用して治療を受けることが多いと思います。
当院では、湾曲している根管の拡大・清掃には、形状記憶合金のニッケル-チタン(Ni-Ti)ファイルを使用しています。柔軟性のある器具を使用することで、本来の根管の形をできるだけ変えないようにし、必要なところだけを削ることで、できるだけご自身の歯根にダメージが少ないよう治療を行います。
③徹底的な根管洗浄
ラバーダムをしているので、治療中に唾液中の細菌が根管の中に入るのを防ぐだけでなく、根管の中を消毒する強い薬剤もお口の中に漏れないようにして安全に使用することができます。
感染している根管治療の成功のカギは、この根管洗浄です。
また、ただ洗浄液を流して洗うだけでなく、超音波振動を使って薬液を根管全体に行きわたらせたり、ニッケル-チタン(Ni-Ti)ファイルが入り込まない隙間を清掃してくれるSAF(セルフ・アジャスティング・ファイル)という、今までの歯科治療にはなかった新しい治療器具も導入しています。
④顕微鏡を使った精密な治療
さらに、本来の根管とは違う方向に道ができてしまっている場合や、根の先が壊れていて特殊な器具や薬剤を使わなければならない場合などには、手術用顕微鏡を使用しています。
根管治療というのは、見えない状態で手探りで行うのが一般的ですが、顕微鏡を使うことによって根の先まで見ながら治療することが可能です。
見逃していた根管を探すことができたり、折れ込んでしまった治療器具を除去したりと、肉眼で治療をしていた時に比べ、格段に治療の精度が上がりました。
⑤緊密な根管充填
根管の洗浄が終わったら根管の中を埋める必要があります。これを根管充填と言います。
歯根の状態は人それぞれで、
湾曲していたり、根の先で分岐していたり、根の先が壊れて太く開いてしまっていることもあります。
さまざまな状態に合わせて充填する材料を使い分け、3次元的に緊密に封鎖を行い、再度細菌感染が起こらないように注意して治療を終了します。
以上に挙げたこと以外にもたくさんの細かいことに気を配りながら、痛みや腫れがなくなるよう、そして再治療の必要がないように、できるだけ今ある歯根を大切に、ご自身の歯で美味しくお食事ができるようにとの思いで治療を行なっています。
根管治療が不十分で、時間とともに感染が広がり、場合によっては抜歯をせざるを得ないという状態になることもあります。
一度治療したから大丈夫ではなく、一度治療した歯はあくまでも修復してあるだけで、元に戻ったのではありません。
久しく定期健診を受けられていない方、たまに気になるところがあるけれど放置している方、ぜひお早めに歯科医院へ行かれてくださいね。
歯の土台である歯根の治療でお役に立てる佐藤歯科クリニックでありたいと、日々研鑽を積んでいます。
もちろん、歯が残せなかった場合のインプラントについてもしっかりと診断・治療を行なっています。