親知らずの移植
2018-10-01
歯を移植できることはご存知でしょうか。
簡単に言うと、虫歯や歯が折れたなどの理由で抜歯せざるを得なくなった場合に、抜歯した穴にご自身の親知らずを移植して補う方法です。
専門的には『歯牙移植』と呼びます。
残念ながら抜歯しか方法がないとなった場合、普通は以下の方法を提案されることが多いと思います。
❶両隣の歯を削ってブリッジ
メリット:自分で取り外しをしなくて良い
材質を選ばなければ保険適応
デメリット:両隣の歯を削る必要があり、支えとなる歯への負担が大きくなる
虫歯や歯根破折、歯周病になりやすくなる
❷取り外し式の部分入れ歯を入れる
メリット:両隣の歯を削る必要がない
見た目が自然な入れ歯もある(保険適応外)
デメリット:毎食後、取り外して清掃が必要
入れ歯のバネがかかる歯に力がかかる
歯茎が痩せていたりすると痛みを感じることがある
❸インプラント
メリット:骨に人工歯根を埋め込むので、しっかり噛める
見た目も普通の歯があるように見える
デメリット:外科処置が必要 保険適応外
噛める状態になるまで時間がかかる
④抜いたまま何もしない
これに加えて、
ダメになった歯の代わりに、親知らずを移植する 歯牙移植 という方法があります。
移植できる健全な親知らずがあって、それが抜歯となってしまった歯の代わりになるとしたらどうでしょうか。
もともとの状態と同じとはいかなくても、自分の歯で補えるというのはとても気持ちが良いですね。
<一般的な治療の流れ>
(1)保存不可能な歯を抜歯
(2)状態の良い親知らずを抜歯して(1)で抜いた穴に戻します
(3)糸で縫って固定
(4)翌日消毒
(5)移植後、約1週間経過してから抜糸、隣の歯とボンドで固定
(6)移植後1ヶ月を目安に根管治療を開始
(7)数回の根管治療を経て、根管充填
(8)かぶせ物の型とり
(9)かぶせ物を装着して隣の歯との隙間を埋めたり、上下の歯でかみ合うように調整します
(10)定期的なメインテナンスで虫歯や歯周病にならないようにします。
当院では初診時に全体の歯の状態を見て、将来抜歯になる可能性がありそうなときは、できるだけ親知らずを保存するよう勧めています。
この歯牙移植の最大のメリットは自分の歯であり、抜歯~移植~被せ物まで全て保険が適応されるということ。
※(3割負担で総額約1万 円程度)
但し、適応されるには抜歯する歯の種類や、骨の状態、親知らずの状態によりますので、ご自身が移植適応なのかどうか気になる場合はお早めにご相談ください。
残した方が良い親知らず、抜いた方が良い親知らずのアドバイスも行なっております。